「初夏の風」
カウンターで隣に座るのが嬉しかった。
いつも、箸をとってあげたかった。
醤油をかけますか?
あなたは、お新香をみてる。
初夏を思わせる、青い空が
窓の向こうに現れる。
私は右の耳に髪をかけ・・・
少しあなたの顔を見た。
すぐ側に、あなたがいる不思議
いつも、一緒にいたかった。
蕎麦は好きですか?
めがねの奥の瞳がゆれる。
ふざけるのはいつも私・・・
「また、来ようね。」
なんでもない食堂が
2人にとっては、デートだった。
ずっと、手さえ繋げなかった。
心であなたに問いかける・・・
「あなたの左手は寂しくないの?」
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